6.「エプロンだより」
若いお母さん方のサークルだより


「えぷろんだより」の平成11年6、7、8月号より転写
「えぷろんだより」のコラムに、私(山田)の投稿がのっているので紹介します。
内容は各務先生(ポール矯正歯科センター院長)の出版物である、
心身の健康をつくる「歯の矯正」(主婦の友社、1500円)より、
矯正法の考え方と治療法について紹介と(私の独断で)解説を加えたものです。
  
  平成11年8月
 
子供の歯ならび(1)6月号より    山田歯科医院 院長山田雅昭
 毎日の歯科診療の内で、特に子供の治療(特に幼児)には大人の治療と異なって気をつかうことが多い分野です。
 最近、診療室で気になっていることについて話してみます。
というのは、近年、子供の歯ならび悪い子が特に目立っているようになってきたことです。
(もちろん小児のむし歯数は減少傾向になっています。)
原因は昔のように固いものを食べない、咬まないなど食生活の変化が原因といわれています。
このままでは大人になった時には、むし歯と歯周病になりやすいのはもちろん、外観、発音、口臭など、精神的な悩みもかかえることになりかねません。
 最近、私どの診療室では、「永久歯を抜かない矯正治療、咬合誘導」の治療方法を確立して、実践しているので紹介します。
歯ならびが悪くなる原因は「歯列と顎の発育は舌の筋肉の発達によって発育する」という考えによって「身体的に健康を維持できる歯列と咬み合わせ」を完成させることを目的とした治療を行うことです。
それでは、治療開始年齢別にどのようにしていくかを紹介してみましょう。

乳児期(0〜3歳)
・矯正器具の装着やむし歯の治療はしない。(予防処置は行う)
・指しゃぶりやおしゃぶりをさせる。(0〜2.3歳)
・3歳になったら指しゃぶりやおしゃぶり(歯ならびに影響が出はじめる)からガムを咬ませる。
幼児期(4〜6歳)
・反対咬合だけは積極的に治療をはじめる。
・不正咬合のない子どもにはガムをどんどん咬ませる。
 (もちろん砂糖の入っていない キシリトール ガムなど)
・舌の根元の筋肉作りのトレーニングをさせる。
 以上のことにより、健全な歯と学の発育がなされます。
 私どもは、むし歯のない健全な歯列と顎の発育を目ざしています。
 ☆次回は、学童期について話します☆

子供の歯ならび(2)7月号より    山田歯科医院 院長山田雅昭
 前回では「永久歯を抜かない矯正治療、咬合誘導」の治療について、年齢別にどのようにしていくかを乳児期(0〜3歳)、幼児期(4〜6歳)にわけて紹介しました。
今回はその解説について話します。(学童期については次回に)

乳児期(0〜3歳)
●矯正器具の装着やむし歯の治療はしない。
「小児の歯(乳歯)が萌出するのは生後6〜7月ごろ下顎の前歯部からです。このころから、1年半ぐらいまでは前歯部の上下しか萌出していませんので、歯ならび(上下の咬みあわせ)は確立していません。
おおむね、すべての乳歯20本が萌出するのは3歳すぎです。このころは、発育途上なので矯正をするべきではありません。
また、口腔の衛生状態に気をつけてむし歯をつくらないようにお母さん方はガンバッテもらいます。むし歯をつくらない、あってもむりして本格的に治療しないで予防処置が中心です。」
●指しゃぶりやおしゃぶりをさせる(〜3歳)
「母乳でそだてるのも良いでしょう。その意味は、積極的に舌や口のまわりの筋肉を動かすことによって、口腔の発育を促進させます。そのことのよって、乳歯や永久歯そして舌のおさまる空間を作り、口腔を発育させることになります。」
●3歳になったらおしゃぶりからガムを咬ませる
「3歳以後になったら、おしゃぶりは歯列不正の原因となります。そのため中止してもらいます。そのかわり砂糖(虫歯の原因)の入っていないガムに切り替えていきます。」

幼児期(4〜6歳)
●反対咬合だけは積極的に治療を
「いわゆる下顎の発育成長が強い子供は、ある程度の抑制治療が必要になってきます。
そのまま放置することは、将来ますます増悪化します。」
●不正咬合のない子供はガムをどんどん咬ませます。
「もちろんむし歯をつくらないガム(キシリトール入りなどがおすすめ)です。顎と顎の筋肉をきたえ、健康な顎の発育がうながされます。」
●舌の根元の筋力作りのトレーニング
「口腔の狭い子供(当然顎の発育も弱い)舌の根元の筋力作りです。口腔内から積極的に外側への発育を促します。その方法は機会があれば紹介します。」
次回、学童期について話します。

子供の歯ならび(3)8月号より    山田歯科医院 院長山田雅昭
前前回と前回では、「永久歯を抜かない矯正治療、-咬合誘導」の年齢別の治療法を解説しました。今回は学童期以後の治療及び解説について話します。

【学童期】(7〜12歳)
舌小帯の未吸収がある場合は小帯切除する。
 子供の舌小帯の異常(未吸収)があると、舌の動きが制限され、口腔内の歯列がせまくなり、不正咬合の原因となります。
 小帯異常の見つけ方は、子供さんの口を大きく開けさせて上唇を舌でなめさせるようにすると、口を開けたままでは舌がとどかない子や舌が小帯に引張られてハート型の舌になるので、ある程度わかります。
 また、舌の沈下がおこり生活に必要な酸素の吸入量が少なくなり、酸素不足となります。
子供の普段の生活活動がなんとなく元気のない状態となります。
永久歯を抜かないで並べるための誘導をしていく。
永久歯の萌出するスペースがたりない時は、舌側につける簡単な矯正装置をつけてスペースを確保します。
また、萌出位置のずれがある歯を正しい方向、位置に誘導するようにします。
●歯列の発育と歯科医師が手助けする
 上述の通り、永久歯が萌出しやすいよう口腔内の環境づくり(歯の治療を含めて)を歯科医がすることによって、正常な咬合に誘導します。そのためにも、お母さんが子供の歯並びをいつも注意してみることと、定期的に歯科医院つれていくことが必要です。
●舌の根元の筋力作りをする。
これは、別の機会に話をします。

【中・高校期以上】(13歳以上)
●永久歯だけの不正咬合に対して、一般的には永久歯を4本抜いて並べる方法
がとられます。
前前回、前回と今回の話の通り、発育にあわせて咬合を育成することによって、(特別な例以外)抜歯なしでも矯正(咬合誘導)ができます。

以上、簡単にまとめてみました。
なお、山田歯科医院のホームページを開設しています。興味のある方は、一度のぞいてみて下さい。
   http://www.ahmic21.ne.jp/yamada